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DATE: 2010/02/15(月)   CATEGORY: ひとりごと
プロ意識
今日は少し難しい話(たぶん)。

夫は象徴学研究家兼講師、わたしはウェブ制作兼デザイナー。
でも実は、わたしも夫もクライアントから依頼された仕事を果たすことに加え、自分たちの後に続く「プロを育成する」という仕事も同時におこなっている。

わたしも夫もどこかと契約することもなく完全自営でやっていて、それには不利な点も多いが、それでも昨今の不況の影響か、「自分の手でお金を稼げるようになりたい」「腕一本で食べられるようになりたい」といって、プロとして自立することを目指しわたしたちのもとで学ぶ人たちが増えた。

20台の若者もいれば、経験豊富な中堅サラリーマン、仕事と平行して大学院に通っている人もいる。その人たちの多くは「プロとして自営でやっていくノウハウ」とか「将来仕事をもらえそうなツテ」を得たいわけだが、わたしたちはいつも、「自営でやっていきたいのなら、ノウハウやコネではなく、なによりプロ意識を持って」とお話している。

お金がもらえるようになったらプロ、と勘違いしている人があまりに多い。
あるいは、それなりの仕事をしてお客さんに喜んでもらえれば、もう安泰、評価されている、と安易に考える人も、これまたたくさんいる。苦情を言う人や咎める人がいないのだから、自分はいい仕事をしているのだ、と思ってしまう。

でもそれは違う。

プロの仕事は、どれだけお金になるか、お客さんが喜んでいるかどうか、仕事の技術が高いかどうか、で判断されるものではないと、わたしたちは常日頃感じているし、自分たちが育てている生徒さんたちにも教えてきた。

お金にならない仕事でも、高いプロ意識を持った人は、一流の仕事をする。
親戚のおじちゃんからの依頼でも、一世一代の大仕事でも、取り組む姿勢はまったく同じ、誠心誠意最善を尽くしたものである。

相手が喜ぶかどうかで仕事のよしあし、でき不出来を判断したりもしない。仮に相手が見る目のない客だとして、その相手が単純に喜ぶようなことをすることが、いつでも「いい仕事」をしていると言えるとは限らない。

こういうことを言うと、「お客さんに喜ばれてナンボではないのですか」と言う人もいる。

相手を喜ばせたいと思うことが悪いと言っているのではない。けれどそれが「第一目標」では、プロとは言えないのだ。

お客が期待していることは、それ自体が間違った期待かもしれない。お客さん自身にとって、将来的によくない影響を及ぼすことかもしれない。

その相手にそのまま喜んでもらうことを考えていたのでは、結局、自分が本意でないことをするハメになったり、余計な妥協をしたり、仕事の質そのものを落とすことにつながり、もしその結末がダイレクトに現れれば、酷い場合は「あいつに頼んだらこんな酷い目にあった」と評判を落とすことにもなりかねない。

相手が間違った期待や間違った結果を「よい」と思い込んでいるならば、正しい状態、最善の結果、良質の仕事というのはどういうものかを、まずお客に教えることから始めるのがプロである。お客に「最高のサービス」とはどういうものかを教え、お客の目を曇らせているウロコを落とし、その目を肥やす、それができてこそプロといえる。それを拒絶し、「とにかく客の言うとおりにやってちょうだい」なんていうお客の仕事は、断ったほうがいっそいい。



お金をもらっても所詮アマチュアな人もいれば、無償で仕事を果たすプロもいる。

その違いは、「プロ意識」、日本的に言い換えれば「職人気質」をもって仕事をしているかどうかだと思う。

そんなことをいつも生徒さんたちに繰り返し話しているものだから、わたしたちは誰かに仕事を依頼するときも、その人の仕事のでき不出来よりも、仕事に対する姿勢、誠実さ、意識のほうに目が行ってしまう。

それがガス屋さんでも、役場の保健婦でも、宅配便のお兄さんでも。

こんなことを書いたのは、まさに今日、仕事を依頼したある人に「プロ意識」の認識の部分で切々と訴えたことがあったからだ。

のんびりした田舎の農業地帯、馴れ合いやつきあいでも十分仕事ができる地域で、「プロ意識」を問うのは酷だろうか。

本当の「仕事」とは、その人の分身であり、生き方であり、学びの場であり、余暇でもあり娯楽でもあり、そしてその人そのものであると思う。だから、たった数時間、数千円の仕事を頼む相手であっても、それが大事な人間であると思えばなおのこと、ないがしろにはできなくなる。

その人が理解してくれることを願う。

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